消防用設備点検をしないとどうなる? 点検が必要な施設や実施頻度をわかりやすく解説!  

皆さん、こんにちは。

大阪府堺市を拠点に、電気設備工事・空調設備工事・防災設備工事を手掛けている松電工舎です。


私たちの身の回りには、消火器や消火栓、スプリンクラーに自動火災報知設備といった、多くの「消防用設備」が設置されています。これらは火災発生時の被害を最小限に抑えるための、非常に重要な設備です。

もちろん、火災発生時に設備が正常稼働しなければ意味がないため、定期的なメンテナンスが欠かせません。それが「消防用設備点検」です。


ここでは、消防用設備点検の内容や行わなかった場合のリスク、実施頻度などについて詳しく解説します。




■消防用設備点検とは?



消防用設備点検とは、消防法第17条によって義務付けられている、消防用設備の定期点検(法定点検)のことです。消防設備士などの有資格者が点検を行い、消防用設備の配置・状態・動作などを確認した上で、その地域を管轄する消防署(消防長または消防署長)に結果を報告します。点検の結果、何か問題があれば改善が必要です。


私たちの身の回りにある建物には、消火器や自動火災報知設備(自火報)、煙感知器、消火栓、スプリンクラー、避難梯子、誘導灯など、さまざまな消防用設備が設置されています。こういった設備があれば、火災が発生しても迅速な避難や消火活動が可能になり、被害を最小限に抑えることができます。


しかしながら、消防用設備が適切に配置されていなかったり、正常に作動しなかったりすれば、被害が大きくなるのは避けられません。有名な例として、2001年に新宿歌舞伎町で発生したビル火災では、消防用設備に数々の不備があったことがわかっています。この火災は計44名の犠牲者を出す大惨事となり、消防法の改正につながりました。


歌舞伎町火災の教訓からもわかるように、消防用設備は「設置して終わり」ではなく、「適切に配置されているか?」「正常に作動するか?」といったことを定期的に確認する必要があります。それが消防用設備点検であり、義務付けられている施設では確実に実施しなければならないのです。なお、実際の点検作業は専門業者に委託することもできます。




■消防法で消防用設備等の点検が義務付けられている施設とは?



消防法では、火災予防行政の主な対象となる建築物等を「防火対象物」と定めています。広い意味では一般住宅も含まれるのですが、通常は消防法第17条第1項に基づいて定められた、消防用設備の設置義務がある施設(=多くの人が利用する施設)を防火対象物と呼びます。


消防用設備点検が義務付けられているのは、防火対象物の中でも一定の条件を満たす施設です。大きく分けると、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」があります。それぞれどのような施設を指すのかを見ていきましょう。



・特定防火対象物

特定防火対象物とは、主に不特定多数の人が利用する施設のことです。病院や劇場、映画館、ナイトクラブ、飲食店、百貨店、ホテル、旅館などが該当します。また、利用者がある程度固定されている施設の中でも、老人ホームや幼稚園などは特定防火対象物です。


特定防火対象物のうち、延べ面積(建物の各階の床面積を合計した面積)が1,000㎡以上の施設には、消防用設備点検が義務付けられています。これは、不特定多数の人が出入りする性質上、火災発生時のスムーズな避難が難しく、危険性が高いからです。老人ホームや幼稚園なども、やはり円滑な避難が難しいという理由で特定防火対象物になっています。


また、延べ面積が1,000㎡未満の特定防火対象物でも、飲食店などの「特定用途」に使われている階が避難階(直接地上へ出られる階)以外にあり、そこへの直通階段が2つ以上ない場合も消防用設備点検が義務付けられています。これは、避難経路が大きく制限されており、火災発生時のリスクが高いからです。



・非特定防火対象物

非特定防火対象物とは、多くの人が利用するものの不特定多数とまではいえず、利用者がある程度決まっている施設を指します。該当するのは工場や学校、事務所、共同住宅、倉庫、車庫、図書館、博物館、美術館などです。


非特定防火対象物のうち、延べ面積1,000㎡以上で、その地域を管轄する消防長・消防署長が指定した施設には、消防用設備点検を行う義務があります。実際のところ、指定を受けているケースは非常に多いので、「ある程度以上の規模がある施設では点検が義務化されている」と考えておいた方がいいでしょう。


なお、以上のいずれにも該当しない防火対象物には、点検の義務はありません。また、消防設備士などの資格を持たない人(防火管理者など)が設備点検を行うことも一応可能です。とはいえ、火災発生時に消防用設備が作動しないと大変危険ですから、やはり有資格者による定期点検の実施が推奨されます。




■消防用設備等の点検を行わないとどうなる?



施設の管理者の中には、「面倒だから」「お金がかかるから」といった理由で、消防用設備点検をしたくないと考えている方もいるでしょう。あるいは、単純に実施を忘れていたというケースもあるかと思われます。


しかし、消防用設備点検を怠ると大きなトラブルにつながるため、必ず実施しなければなりません。点検を行わなかった場合のリスクとしては、以下の2つが挙げられます。



・法令違反となり罰則が科される

前述した通り、消防用設備の点検および報告は、消防法で定められた「義務」です。点検・報告を行わなかった場合は、消防法第44条に基づき、まず立入検査などの指導が行われます。それでもなお点検や報告を実施しなかった場合は、30万円以下の罰金または拘留の罰則を科されるおそれがあります。虚偽の報告をした場合も同様です。



・火災発生時の被害が大きくなる

適切な消防用設備点検をしなかった結果、いざという時に消防用設備が作動しなかったり使えなかったりすれば、火災の被害が大きくなるおそれがあります。たとえば、自動火災報知設備が作動せず避難開始が遅れたり、スプリンクラーが作動せず初期消火に失敗したりといったケースが考えられます。


場合によっては、避難が遅れたために死者が出るなど、取り返しのつかない事態になることもあるでしょう。こうなると施設の管理者は、業務上過失致死罪に問われたり、遺族・被害者から損害賠償を請求されたりする可能性があります。


さらに、施設の営業停止や閉鎖にもつながりかねません。こういった事態を防ぐためにも、消防用設備点検は確実に実施しなければならないのです。




■消防用設備等の点検や報告の頻度はどのくらい?



消防用設備点検は、適当なタイミングで実施すればいいわけではありません。消防法によって頻度が定められており、一定周期で実施する必要があります。


また、「点検」自体の頻度と、管轄消防署への点検結果の「報告」の頻度は、別々に定められている点にも注意する必要があります。それぞれの頻度について確認しておきましょう。



・点検の「実施」の頻度

消防用設備点検は、「機器点検」と「総合点検」の2つに大きく分けられます。機器点検では、目視でのチェックや簡単な動作確認を行います。一方、総合点検は実際に消防用設備を作動させ、総合的な状態や機能を確認する点検です。


消防法では、機器点検は半年に1回、総合点検は1年に1回実施するよう定めています。総合点検は機器点検の内容も含んでいるため、総合点検を実施すれば機器点検も実施したことになります。そのため、機器点検→総合点検→機器点検……という順番で、半年に1回点検を実施するのが基本です。



・点検結果の「報告」の頻度

消防用設備点検の結果は、その地域を管轄する消防署に報告する必要があります。報告の頻度は防火対象物によって異なり、特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回と定められています。


つまり、消防用設備点検は半年に1回の実施義務があるものの、報告は毎回しなくてもいいということです。その分、「点検をしたのに報告を忘れていた」という事態が発生する場合もあります。消防用設備点検を専門業者に委託する時は、こういったルールをよく理解し、報告も忘れずに行ってくれる業者を選ぶことが大切です。




■まとめ



消防用設備点検は、消防用設備を正常に稼働させる上で必要不可欠なメンテナンスです。定期的に点検を行い、消防用設備が確実に作動する状態にしておいてこそ、いざ火災が発生した時に人命や建物を守ることができます。


もちろん、正確な点検のためには専門的な知識と技術、そして資格が必要です。施設の人が自力で行うのは難しいため、一般的には専門業者に委託することになります。火災から人々を守る仕事に興味がある方は、ぜひ消防用設備点検を手掛けている会社に就職してみてください。




■消防設備点検なら株式会社松電工舎にお任せください!



弊社は大阪府堺市を拠点に、店舗やオフィスなどの電気設備工事・空調設備・防災設備工事を手掛けている会社です。


当社の強みは、消防設備点検だけでなく、電気工事も含めて幅広い対応が可能で、消防設備の定期点検や防火対象物点検、消火器や消火栓の点検はもちろんのこと、電気工事もワンストップで対応いたします。


これにより、各分野の業者に別々で依頼する手間が省け、管理負担が大幅に軽減されます。さらに、メーカーに依頼する場合よりもコストを抑え、効率的で無駄のない施工が可能です。


数多くの施工実績から得たノウハウで、施設の規模や特性に合わせた最適なプランをご提案。

消防用設備等点検結果報告書の作成から、法令遵守に基づく正確な点検と保守まで、私たちはビルオーナーや管理者様の「安心」と「安全」をサポートします。


消防設備点検に関するご相談や工事依頼は、ぜひお気軽に松電工舎までお問い合わせください。





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