「地震感知器を取り付けると、設備はどのように停止するのか」「ガス遮断弁とはどうやって連動するのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
地震感知器は、揺れを検知するだけの装置ではありません。制御盤へ信号を送り、ガス遮断弁や警報設備などと連動させることで、地震発生時の設備制御に利用できます。
ただし、使用する感知器や制御盤、遮断弁などによって信号方式や動作条件は異なるため、設備全体を見ながら構成を考える必要があります。
今回は、地震感知器の役割やP波・S波の違い、ガス遮断弁と連動する仕組み、導入時に確認しておきたいポイントまで解説します。
工場や商業施設などで地震対策や設備の自動制御を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
■地震感知器とは
地震感知器は、建物や設備に伝わる揺れを検知し、その情報を制御設備へ送るための装置です。
一定以上の揺れを検知した際に信号を出すことで、機器の停止や警報など、地震発生時に必要な動作へつなげられます。
・揺れを検知する役割
地震感知器は、単に「地震が起きたことを知らせる警報器」とは役割が異なります。
今回取り上げている機器の一例が、内外ゴム製の「ESV地震感知器」です。P波やS波などの地震動を検知し、設定された条件に達するとリレー接点を動作させることで、制御盤などへ信号を送ることができます。
この信号を制御回路へ取り込むことで、設備の運転停止や警報、ガス遮断設備などの制御につなげることができます。
どの程度の揺れで作動させるか、どの設備へ信号を送るかは、使用する感知器や設備構成によって異なります。
そのため、感知器だけを設置するのではなく、制御盤や接続する機器まで含めて考える必要があります。
・P波とS波
地震による揺れにはP波とS波があります。
P波はS波より先に到達する波で、地震発生を早い段階で捉えるために利用されます。一方のS波はP波より後に到達し、建物や設備に大きな揺れをもたらすことがあります。
地震感知器には、P波を検知するもの、S波を検知するもの、両方に対応したものなどがあります。
設備の用途によっては、P波を利用して早い段階で制御を開始したり、S波など一定以上の揺れを検知した際に設備を停止させたりする構成が考えられます。
重要なのは、地震感知器そのものが設備を停止させるのではなく、揺れを検知して制御に必要な信号を出す役割を担っていることです。
■ガス遮断の仕組み
地震感知器とガス遮断設備を連動させる場合、基本的には「揺れを検知する」「信号を制御盤へ送る」「遮断弁を動かす」という流れで動作します。
感知器から送られた信号を制御側で受け取り、あらかじめ設定した条件に応じて遮断弁などを動作させます。
・感知器から信号
最初の役割を担うのが地震感知器です。
一定以上の揺れを検知すると、地震感知器から接点信号などが出力されます。この信号が、制御盤側へ「地震を検知した」という情報を伝えるきっかけになります。
どの程度の揺れで信号を出すかは、使用する地震感知器の仕様や設備側の設定によって異なります。
機器を選ぶ際には、感知方式だけでなく、出力方式や接続先との適合も確認する必要があります。
・制御盤が動作
地震感知器から送られた信号は、ガス遮断弁制御盤などで受け取ります。
制御盤は、設備から入ってくる信号をもとに、どの機器をどのように動かすかを制御する役割を持っています。
地震を検知した際にガスを止める構成であれば、制御盤から遮断弁へ動作信号を送ります。
設備によっては、ガス遮断だけでなく、警報表示やブザー、中央監視設備への信号出力などを組み合わせることもあります。
既存設備へ地震感知器を追加する場合は、制御盤に入力できる信号の種類や必要な回路を確認することが欠かせません。
・遮断弁が閉じる
制御盤から遮断信号を受けると、ガス配管に設置された遮断弁が閉じ、ガスの供給を止めます。
地震発生時には配管や機器が損傷する場合もあるため、ガス供給を自動的に遮断できる仕組みは、火災やガス漏れなどの二次災害を抑えるための対策の一つです。
ただし、感知器・制御盤・遮断弁を設置すれば自動的に連動するわけではありません。
それぞれの機器が正しく信号を受け渡しできるよう、設備構成や動作条件を確認する必要があります。
■連動する主な設備
地震感知器は、制御盤を介してさまざまな設備と連動させることができます。
代表的なのがガス遮断弁ですが、設備構成によっては警報設備やその他の自動制御機器にも信号を送ります。
・ガス遮断弁
ガス遮断弁は、異常発生時にガスの供給を止めるための設備です。
地震感知器と連動させる場合は、感知器が設定された条件の揺れを検知すると、その信号を制御盤で受けて遮断弁を閉じる構成にします。
これにより、人が操作する前にガス供給を停止できる仕組みを構築できます。
ただし、既存の遮断弁が設置されていても、そのまま地震感知器と連動できるとは限りません。遮断弁の動作方式や制御回路まで確認する必要があります。
・警報設備
地震を検知した際、設備を停止させるだけでなく、警報を出して管理者へ知らせる構成もあります。
例えば、制御盤の表示灯やブザーを動作させたり、建物の中央監視設備へ異常信号を送ったりする方法です。
地震感知器による制御と、ガス漏れ警報器による異常検知は検知する原因が異なりますが、信号を制御設備へ取り込み、必要な設備を動作させるという点では共通しています。
・自動制御機器
地震感知器の信号は、ガス設備以外の自動制御にも利用できます。
設備の運転停止や制御回路への信号入力など、地震発生時に動作させたい機器と組み合わせることが可能です。
こうした設備では、地震感知器だけを選定して終わりではありません。接続する制御盤の入出力、停止させる設備、警報の出し方などを一つのシステムとして考えます。
特に既存設備へ追加する場合は、現在どのような制御回路が組まれているのかを確認したうえで、必要な機器や配線を検討します。
計装工事について:松電工舎の電気設備・計装工事
施工事例:某所工場 計装工事
■導入時の確認点
地震感知器を導入する際は、感知器だけを選んで取り付ければよいわけではありません。
どの程度の揺れで動作させるのか、どの制御盤へ信号を送り、最終的にどの設備を停止させるのかまで決める必要があります。
・感知条件の設定
地震感知器では、どの程度の揺れを検知したときに信号を出すのかという条件設定が重要になります。
地震感知器にはP波、S波、または両方を検知するタイプがあり、製品によって検知方法や設定できる条件も異なります。
早い段階で設備制御を開始したい場合と、一定以上の大きな揺れを検知した際に設備を停止させたい場合では、求められる動作も変わります。
そのため、単純に感度を高く設定すればよいというものではありません。設備の用途や停止した際の影響なども考慮して動作条件を検討します。
・配線と制御盤
地震感知器が検知した信号を設備へ伝えるには、制御盤までの配線が必要です。
制御盤側では、地震感知器からの信号をどの入力回路で受け取り、その後どの機器へ出力するのかを決めます。
例えばガス遮断弁と連動させる場合は、地震感知器からの信号を制御盤へ入力し、設定した条件を満たした際に遮断弁を動作させる構成が考えられます。
地震感知器自体が正常に作動していても、信号が制御盤や遮断弁へ正しく伝わらなければ、想定した連動動作にはつながりません。
・既存設備との適合
既存のガス設備や制御設備へ地震感知器を追加する場合は、現在設置されている機器との適合確認が必要になります。
確認する対象は制御盤だけではありません。遮断弁の動作方式、警報設備との連動、既存のセンサーや監視設備など、システム全体を確認します。
また、地震発生時にどの設備を自動停止させ、どの設備は運転を継続するのかも整理しておく必要があります。
地震感知器の導入では、「感知器を取り付ける」だけでなく、地震を検知してから設備を安全な状態へ移行させるまでの制御を組み立てることがポイントです。
新設・更新のどちらの場合でも、既存設備の構成を確認したうえで必要な機器や配線、制御方法を検討します。
■まとめ
地震感知器は、一定以上の揺れを検知して制御設備へ信号を送り、地震発生時の設備制御につなげる装置です。
ガス設備では、地震感知器からの信号を制御盤で受け取り、ガス遮断弁を動作させることで、地震時にガス供給を自動で停止する仕組みを構成できます。警報設備やその他の自動制御機器と組み合わせることも可能です。
導入時は、感知条件だけでなく、制御盤の入出力や配線、遮断弁など既存設備との適合まで確認する必要があります。感知器単体ではなく、検知から設備停止までを一つの制御システムとして考えることがポイントです。
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